大乗仏教経典
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大乗仏教経典

注: 本文中の[ ]型鉤括弧や下線、括弧番号などはすべて空殻による編集や補修などであり、基本的にあくまでも主観によるものです。また、特に補修などは漢訳に即しているため私訳が混在します。もし間違いを確認されましたら、積極的にご報告ください。ご報告の内容はまず訂正案として[ ]型括弧内に登録させていただき、後日確認が取れ次第完全訂正させていただきます。ご協力くださいますようよろしくお願いします。

華厳経  大日経  金剛頂経注釈  蘇悉地経  解深密経  如来蔵経  仏刹浄土対照表  摩訶止観  真言陀羅尼

華厳経

正式名を「大方広仏華厳経(たいほうこうぶつけごんぎょう)」、サンスクリット名を「buddha-avatamsaka-nama-mahavaipulyasutra(ブッダの飾りと名づけられる広大な経典)」という。
華厳経は、ゴータマ・シッダールタが死去しておよそ500年から600年後に出来たのではないかと推測されている大乗仏教経典で、シッダールタの悟りの内容をそのまま示した経典といわれる。そのため、数ある仏教経典の中においてももっとも難解な部類に属し、大乗仏教的価値観を持たなかったとされるシッダールタの直弟子たちには理解できなかったと伝えられるが、実際のところは「悟りとはなにか」、「成仏するには何をどのようにすればよいのか」、「仏陀とはつまり何なのか」、「人は菩薩としてどのように生きるべきなのか」、また「菩薩の精神的階梯とされる十地」についてなど、非常に具体的な内容が分かりやすく示されている。
ここで引用掲載しているのは筑摩書房刊・中村元編『大乗仏典』所収の玉城康四郎訳出本と、部分的ながら同書房から刊行されている木村清孝訳『華厳経』。(敬称省略) どちらも一応専門書なので、一般の書店での購入はおそらく難しい。神保町などで入手可能。
また、対照用に付属した漢訳文は上の両著の底本となった、東晋の佛駄跋陀羅(ブッダバドラ)による『六十華厳』。


大日経

『大毘廬遮那成仏神変加持経』の略称。
華厳経と同じく毘廬遮那如来を経主に据える中期密教経典で、七世紀中葉に西インド、もしくは東インド(頼富本宏説)で成立したと考えられている。
この経典のサンスクリット原典は現時点ではまったく発見されていないが、カマラシーラの『修習次第』(BhAvanAkrama)や後期の密教図像集『成就鬘』(SAdhanamAlA)、所作タントラ集成『所作集』(KriyAsamgraha)などに引用される断片や、仏像に刻まれている真言文が知られているのみである。『修習次第』に引用されている経典名は『毘廬遮那現等覚』(VairocanAbhisambodhi)であり、チベット訳の冒頭に記されるサンスクリット名は『大毘廬遮那の現等覚によって変化された加持(を説く)方広(大乗)経の帝王と名づける法門』(MahAvairocanAbhisambodhivikurvitAdhisthAnavaipulya-sUtrendrarAja-nAma-dharmaparyAya)である。

同項目における収録内容は第一「入真言門住心品」と第十三「入秘密曼荼羅位品」のみ。
アクセスは、現時点では、メールによる要請で条件を満たした方のみに限らせていただいている。


金剛頂経注釈

『真実摂経』のチベット語訳には注釈書が付随し、現存するものを挙げると

  1. ブッダグヒヤ(buddhaguhya)撰 『タントラ義入』
  2. シャーキャミトラ(SAkyamitra)撰 『コーサラの荘厳という真実の集成に対する注釈』
  3. アーナンダガルバ(Anandagarbha、)撰 『一切如来の真実の集成である大乗の現観と名づけるタントラの注・真実の燈明』
  4. プトゥン(Bu ston rin chen grub)撰 『瑜伽タントラの海に入る船』

の四つがある。
ここではシャーキャミトラとアーナンダガルバの注釈を対照表にして紹介する。
『金剛頂経』関係の詳細に関しては『掲示板の歴史/その十四(第二部)』を参照。
参考文献は頼富訳『金剛頂経』。


蘇悉地経

『蘇悉地羯羅経』(susiddhikara、妙成就作業、妙成就のための作法、一切の世間・出世間の作業を成就するの意)の略称。
同経にはサンスクリット本が残っていないためインドにおける成立の事情は不明であり、中国においても、同経の伝授に関する資料は断片的なものが散見するのみである。
そもそも所作を徹底的に整備するための儀軌書であるはずの『蘇悉地経』は、中国・日本においては金胎両部に並ぶ経典として見做されている。
三崎良周氏はこの辺の事情について、大蔵出版『新国訳大蔵経・密教部2』で「『蘇(悉地)経』には『大日経』・『金剛頂経』に匹敵するような哲学も諸尊の配列もないのであるが、余の真言法を成就するもの(蘇悉地 susiddhi 妙成就)とされ、また『蘇経』の諸尊を仏部・蓮華部・金剛部すべてを成就するためのものということから、胎金両部に亘る修法の経という観念になったものかと考えられる。その観念は青龍寺義真や法全から円仁、円珍、宗叡への伝授の間に、漸次に醸成されて行ったか、と思われる」(二二頁)と述べている。
教説主は執金剛、対向者は軍荼利菩薩、中尊は仏頂如来で、蘇悉地曼荼羅の中心として仏頂・蓮華・金剛の三部を挙げてこれら三部を上中下の三品に分類し、息災・増益・降伏の三種法、身体を三支分に分ける支分生、それらそれぞれの成就を祈る三種悉地といった内容が説かれている。


解深密経

「げじんみっきょう」と読む。サンスクリット名は「samdhi-nirmocana-sutra」。
ヨーガを実践して「外界の事物はみな空であり、あらゆる存在はただ識(自己の心)の現れにすぎない」と観察(かんざつ)する唯識派(瑜伽行派)の所依経典の一つ。
「唯識思想」を初めて説いたといわれる経典で、西暦三百年前後に成立したと推定される。
岩波書店刊『仏教辞典』によると、本経において注目すべき点は次の四つである。
@「()・空・中」⇒ 仏教の歴史を「有・空・中」の三時に分けて、唯識は第三時の中道に相当すると説いたこと
A「阿頼耶識」⇒ 六識の奥に深層心理を考察する立場から「阿頼耶識」の存在を主張したこと
B「三自性(さんじしょう)・三無自性説」⇒ 存在を三つの形態に分ける「三自性・三無自性説」を説いたこと
C「唯識思想」⇒ 一切はただ心の現れにすぎないという「唯識」の考えを初めて宣揚したこと
漢訳テキストは玄奘三蔵訳、邦訳は岩野眞雄訳『現代意訳・維摩経/解深密経』(仏教経典叢書刊行会/大正十一年)を参考に引用、編集した。
今後も漢訳や関係書等と対照して研鑽を続行する。


如来蔵経

サンスクリット名「tathagata-garbha-sutra」、「如来を内部に宿すものについての経典」を意味する。
大乗中期の経典で、成立はナーガールジュナ(龍樹。一五〇〜二五〇)よりも後、三世紀中葉と推定される。
その名の示す通りの内容で、如来蔵思想展開の礎となったため、同系統経典の筆頭に上げられる。
サンスクリット本は散逸して伝わっていないが、漢訳が二種とチベット訳が残っている。
『華厳経』「如来性起品」と『智光明荘厳経』とに直接の影響を受けたと見られ、また、『法華経』の一乗思想の影響下にもあると推測されるが後者は具体的証拠がない。
邦訳は中央公論社刊『大乗仏典』所収の高崎直道訳を参考にし、漢訳は『大正新脩大藏經』テキストデータベース(SAT)から佛駄跋陀羅のものをダウンロードさせていただいた。高崎氏は同訳著にて『如来蔵経』に加え、同系統経典である『不増不減経』『勝鬘経』『華厳経如来性起品』『智光明荘厳経』のチベット語訳を収録している。
漢訳テキストに関しては、何かと便利なので参照番号はそのまま残すことにする。
また、如来蔵思想に関しては『掲示板の歴史/その十四(第三部)』を参照されたい。


仏刹浄土対照表

浄土としての仏国土の典型的設えとして共通点を簡略化して述べると、それはすなわち「大地や樹木が貴金属である」「貴金属によって徹底的に飾られている」「宇宙的数量の菩薩が居住する」ということになるだろう。 簡単な例を挙げると、『妙法蓮華経』「見宝塔品第十一」にはこのようにある。
そのとき仏は眉間の白い捲毛(白亳)から一条の光を放たれた。そのとき、東方において、ガンジス河の砂の数にひとしい五百万億ナユタの国土の諸仏が見えた。それらの仏国土は皆、瑠璃を大地とし、宝石の樹や衣で飾られ、無数千万億の菩薩がその中に充満し、あまねく宝石を鏤めた幔幕を張り、宝石で飾られた網で覆われているのが見えた。かの国の諸仏が美しくすぐれた声で教えを説いており、無量千万億の菩薩がもろもろの国に充満して大勢の人たちに教えを説いているのが見えた。南・西・北・南西・北西・南東・北東・上・下の方角でも、白い捲毛から放たれた光に照らし出されたところは、皆、このようであった。(筑摩書房『大乗仏典』所収、中村元訳 一一一)
ここでは仏国土や浄土について、考察を交えつつ経典や論書の記述を比較対照表にして紹介していく。
浄土思想関連の知識に関しては『掲示板の歴史/その十六』を参照。


摩訶止観

随の高僧で天台宗の創始者・天台大師智(538-597)が説き、阿難に比されるその門人・章安灌頂(561-632)によって筆録編纂された同論書は、仏道修行の実践と理論を具体的かつ体系的に説いたものである。
日本語版は岩波文庫刊、関口真大校注『摩訶止観〜禅の思想原理〜』上下巻(各六七〇円・税込)の引用編集で、原文は同訳書の底本となった大正新脩大蔵経第四十六巻所収の摩訶止観二〇巻。
特別に断り書きをしていないが、この『大乗仏教経典』のページは経・律・論を包括することをご了承いただきたい。


真言陀羅尼

真言と陀羅尼の定義は基本的であり過ぎるため略す。
真言、陀羅尼は通常、密教においてのみ唱えられるものと考えられているが、実は浄土真宗を除くあらゆる大乗宗派によって読誦されている。
インド文化の凝結や分布状況などから、学問的対象とするには非常に幅広く高度な学識が必要となる分野である。
現時点では、ここでは陀羅尼を梵文のまま和訳なしで紹介する。
随時編集するので、後々余裕ができたら和訳を加えることもあるだろう。
参考文献: 『密教大辞典』(法蔵館)、『真言陀羅尼』(平河出版社・坂内龍雄)、『大乗仏典』(筑摩書房・中村元)、『秘密マンダラの世界』(平河出版社・八田幸雄)、『曼荼羅イコノロジー』(平河出版社・田中公明)


未定

目次
未定。



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初版:2003年5月20日
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