掲示板の歴史 その九
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NO.274  しかしこうなると
□投稿者/ 空殻
□投稿日/ 2004/09/17(Fri) 11:29:46



>なるほど、有り難うございました。大まかに言うと、「心と肉体」と言うことのようですね。

しかしこうなると、「名称と形態」というのは、どう考えてもウパニシャッドにおける「名色」ですね(^^;)
これは私も納得がいかない。

そこで、十二因縁の各支に関する同辞典の記述を参考に、一つずつ編集してみました。
十二因縁の項目に簡潔に書かれていた定義とスターダストさんのご説明もそれぞれに添えて対照してみると、次のようになります。

  1. 無明[avidyA]=人生や事物の真実に明らかでないこと。すなわち、すべては無常であり固定的なものはなにもない(無我)という事実に無知なこと。迷いの根本で、「愚癡(moha)」とも称され、「貪欲」「瞋恚」とともに三毒といわれる。
    [十二因縁の項目では簡潔に「無知」]
    [スターダストさん「因果を知らない。空を知らない。唯物論という無知」]

  2. 行[saMskAra, saMskRta]=[saMskAra]ならば形勢力、形成されているもの、[saMskRta]ならば形成されたもの、有為という意味で、本来、造作(つくること)と遷流(移り変わること)の二つの意味があるという。五蘊の行と十二縁起の第二支の行とは、いずれも意識を生ずる意志作用である。
    [十二因縁の項目では「潜在的形成力」]
    「スターダストさん「無知のままの行為。(因果を知らないから悪を行う)」」

  3. 識[vijnyAna, vijnyapti]=(区別して)知る(vijAnAti)もの。この知るとは、対象を得ることであり、その作用を伝統的には「了別」という。世界の構成要素「五蘊」の一として数えられる。
    [十二因縁の項目では「識別作用」]
    [スターダストさん「過去世の生活の行為一切が識に記憶される」]

  4. 名色[nAma-rUpa]=名[nAman]と色[rUpa]。概していえば、「名」は精神的な要素、「色」は物質的な要素、「名色」はそれらの集まりかあるいは複合体。もとはウパニシャッド哲学で「現象世界の名称(nAman)」と「現象世界の形態(rUpa)」、すなわち概念とそれに対応する存在の意味に用いられていたが、これが仏教に入ると「名」と「色」でそれぞれ「個人存在」の精神と物質の両要素を表わし、「名色」はそういった諸要素からなる個体的存在を意味するようになった。名色は十二支縁起(十二因縁)の第四支とされるなど、縁起の支分として立てられるが、縁起説そのものの解釈によりその意味もさまざまにとりうる。しかし古い縁起説のなかでは、識(認識)と相互依存的な関係にあるものとして、名色は対象世界を表わしている。
    [十二因縁の項目では「名称と形態」]
    [スターダストさん「その記憶が『夢幻』となって「この世・肉体・心」を造る」]

  5. 六入[SaD-Ayatana]=六入処ともいい、新訳では六処と訳す。「入(Ayatana)」とは「入ってくるところ」、あるいは「入って来るものの意」。前者の意味では六根、後者では六境のことで、合わせて十二処(十二入)、六識を合わせると十八界となる。
    [十二因縁の項目では「六入、六つの領域、眼耳鼻舌身意の六感官」]
    [スターダストさん「肉体が出来ると眼耳鼻舌身意の五官と心が具わる」]

  6. 触[sparSa]=(項目なし)
    [十二因縁の項目では「接触」]
    [スターダストさん「五官と心は外界を認識する。(外界に触れる)」]

  7. 受[vedanA]=「痛」「覚」とも訳される。十八界、すなわち根(認識器官)、境(認識対象)、識(認識作用)の「接触和合」から生じる苦・楽・不苦不楽などの印象・感覚。五蘊の一。
    [十二因縁の項目では「感受作用」]
    [スターダストさん「外界を認識すれば一切のものを苦と楽に分別する」]

  8. 愛[tRSNA]=原義は「渇き」。人間の最も根源的な欲望。十二因縁の体系に組み入れられて第八支となる。前支の苦楽の受に対して愛憎の念を生ずる段階であるとされた。
    [十二因縁の項目では「渇愛、妄執」]
    [スターダストさん「外界の楽の事物に愛着を起こす」]

  9. 取[upAdAna]=さまざまな欲望・見解を求めて止まず、取って放さないこと。十二因縁の第九支として用いられるときは「欲望(渇愛)を取って放さない」という意味になる。欲取(煩悩)、見取(誤った見解)、戒禁取(誤った生活信条)、我語取(我見)をもって四取とする。
    [十二因縁の項目「執着」]
    [スターダストさん「愛着を起こした事物(欲望・唯物論・自我・戒律)を取る」]

  10. 有[bhava]=生きものの生存状態、生存領域。十二因縁では第十番目に位置し、欲界・色界・無色界の三界を輪廻していく状態を指す。
    [十二因縁の項目では「生存」]
    [スターダストさん「以上の過去の行いから、性格・環境などの存在が決定する」]

  11. 生[jAti, janman]=十二因縁の「生」は生まれることを意味する。多生・今生・生死などというときの「生」、つまり生存とは異なる。
    [十二因縁の項目では「生まれること」]
    [スターダストさん「有で決定した環境に決定した性格の者として生まれる」]

  12. 老死[jarA-maranam]=(項目なし)[生老病死=人間のさけられない四つの苦しみ。生と老死は十二支縁起中の第十一支、第十二支にあたる]
    [老い死にゆくこと]
    [スターダストさん「この世の色々な苦しみに遭遇する。(生老病死憂悲悩苦)」]