掲示板の歴史 その十
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NO.280  (無題)
□投稿者/ 空殻
□投稿日/ 2004/10/07(Thu) 17:48:38
□IP/ 4.27.3.43

>資料を集めていて、創価大学で出版している『妙法蓮華経』と『正法華経』の辞典を手に入れました。なんか、すごい力作という感じです。

そいつは羨ましい(^^)
ものすごく高かったでしょう?

>ところで竺法護訳『正法華経』には訓読、現代語訳など出ているのでしょうか?

ううむ、どうなんでしょう。
私にはちょっと分かりかねます。

>>『法華経』の「凡例」で、訳者は「読み下しに際しては、必ずしも従来の慣例に従わず、その意味によって読んだ」と書いているので、訓読はところどころ正確ではないと考えたほうがよいですね。
>たぶん、その凡例の言葉は、「伝統的に間違ったまま固定されてしまっている訓には従わないで、文法的に正しく読んだ」という意味で、それぞれの宗門を牽制しているのではないかと思います。


そういう取り方もできるとは思いますが、その辺の意図が実際どうだったのかは私には解りませんね。
岩波文庫『法華経』は文法的に見て、正しく読めてますか?

>>また、これは『仏教漢文の読み方』(春秋選書)で金岡照光氏が指摘されていることですが、仏教漢文は中国的な解釈を通すことによって長期に渡って誤読されてきたし、学者もまた間違った読み方をしていることが多く、そういった諸々の事情によって作り上げられた伝統的な誤読の習慣が根強く残っていることなどから、仏教漢文の語学的研究は遅れているのだ、ということです。
>金岡氏は中国学出身の人で、実はわたしもちょっと存じていたのですが、たぶん同氏の仰ることは、仏教学の人は漢文の鍛錬が十分ではなく、中国学の人は中国語で書いてあるにも関わらず、自己の研究の範囲と認めなかったので、仏典の正確な理解、語学的な研究が立ち遅れた、ということなのではないかと思います。


端折りすぎました(^_^;)
同氏は、上で仰るような中国学と仏教学のそれぞれの問題による隔離もさることながら(私から見ると、同氏はむしろ両者の閉鎖性やギルド性が問題だといっているように見えるのですが)、梵語原典の類をおそらく「プロセスの軽視」からことごとく捨ててしまった(であろうと推測される)中国人の特異なメンタリティや、そうやって原典を知らずに音写に意味を持たせて中国風に解釈した語彙・語法の誤読が長期に渡って諸文化に浸透してしきたために(例えば慧思の解釈と天台宗教義の関係)仏教漢文が解りづらいものになっていることを指摘してます。
また、同氏は欧米によるパーリ語・サンスクリット語仏典の研究が急激に進められたことで日本の仏教学が「科学化」し、原始仏教、インド仏教の解明に学術的重点がシフトして、その功罪として漢訳仏典の研究自体が諸氏によって軽んぜられるようになったことを挙げてます。
ちなみに、仏教研究者の漢文の鍛錬不足については『大正新修大蔵経』に見られるような基本的な句読点の付け間違いなどを指摘してますね。

>ところで、目録などで見て関係の本を注文しておいたのですが(ここで最初に書き込ませていただのも資料集めの目的だったんですが)、主に中国の本で何冊か送られてきました。ここを訪れる方の参考になるかもしれないので、手元にある分、書き込んでおきます。

ご紹介ありがとうございます。
中国語ができないと読めない書籍ってのは辛いなあ、個人的に(^_^;)

>古訳、旧訳は中国語(漢語)の歴史でいうと、ほぼ中古漢語(後漢から六朝)という時期に属し、唐代あたりから、近代漢語という時期に入るのですが(中古と近代の間の時期には諸説あります)、唐宋の禅語録と新訳仏典を比べてみても違いは歴然なように、新訳は必ずしも当時の話し言葉を反映しているものではなく、古訳、旧訳で習慣的に固定した表現を使っているようなので、基本的に大差ないと考えていいと思います。虚詞(助詞)の使い方に、若干の違いがあるのかもしれません。

その辺の歴史については前出の『仏教漢文入門』『仏教漢文の読み方』にも書かれていたのですが、文法的にどうかというのがいまいち分かりませんでした。
なるほど、虚詞の使い方にあるかも知れないわけですか。

>仏典をぼちぼち読んでいるんですが、思想的なものとなると、やっぱりまったくお手上げです(ちょっと読んでみたのは『金剛般若経』)。仏教用語を漢訳仏典の用語を使って分かりやすく、仏教全体、或いはその経典の思想全体を紹介しているような本ってないでしょうか?やや一般向けのものだと、著者個人の経験談だったり、宗門の独特な解釈だったり、また専門よりだと梵語に結び付けて解釈してあったりで、漢文を原典として読む場合、どちらもなかなかとっつきにくいのです。なにかお心当たりの書があれば、ご紹介ください。

いえいえ、ご紹介いただきたいのはむしろ私の方でして(苦笑)
大体、私は中国学出身でも仏教学出身でもありませんし。
今後もなにかとお教えいただきたく思います。

どなたか、このレスを読まれた方でご存知の方があれば、上の条件に合致する書籍に関する情報をご提供いただけるようお願いいたします。