掲示板の歴史 その二
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NO.49  なるほど、そういうことならば・・・
□投稿者/ 空殻
□投稿日/ 2003/11/02(Sun) 22:13:22
□URL/ http://members13.tsukaeru.net/qookaku/gallery/buddhistarts.html

環さん、おはようございます・・・・・・
そちらの掲示板にも書きましたが、先ほどもバックアップに追われていて気付いたら朝の五時でした。でも、そろそろそれも終わる頃なのですこし安心してます。さすがに、これからはマメに取っておかないといかんなと反省してます。

さて、質問が場違いかもしれないということついてですが、そんなことはありませんよ(^^;)
どうか今すぐ分かろうとせずに、気長に、気楽に何でも訊いてやってください。
説明の中で分からなかった言葉などについても、諦めないでご質問ください。
分からない個所をお知らせいただければ、それについてまたご説明差し上げますよ(^^)
私自身も気付かなかったことが見つかったり、問題意識が生じて勉強になりますので、そのようにしていただけるととても助かります。

それから、私が密教の修行を行なったことがあるかどうかということですが、残念ながらないです。
私が密教に対して共感する部分というのは、やはり山や森の「闇」と密接に関わっていることや、美しい憤怒尊像が多いこと、梵字の形や真言陀羅尼の響きが魅力的であること、また法具のデザインのセンスが優れているといったことなどですね〜。空海のライフスタイルや著作もかなり気に入ってます。


さて、密教には数多くの様々な修法があって、大まかに分類して大法、秘法、普通法とあったりするわけですが、どれもつまりは特定の尊格(仏、菩薩、天、悪鬼など)の印(いん、指を組んで作るジェスチャーのようなもの)を結び、真言(呪文)を唱えて、それらを「供養」することで力を得るという趣旨のものが殆どです。だから、どのような修法を行なうにしても、かならず適切な印と真言、そして本格的にやるならば、檀の造り方や尊像の造り方、服装やら方角などを知らねばなりません。
密教では口、心、体すべてを正しく動作させ本尊と一心同体になければならないため、そういった決まり事は徹底的に守らねばなりません。

それはさておいて、そういった修法の中でとてもよく知られているものが、虚空蔵菩薩という尊格を本尊として超人的な記憶力を得るという「虚空蔵求聞持法」です。
空海がその出家前に勤操(ごんぞう)という人物に師事して修したという記述が、彼の著作である『三教指帰(さんごうしいき)』の序に書いてあります。ただしこれは、作法に必要な牛蘇が修法の期限中(五十もしくは百日間)に腐る可能性があることなどから昔から仔細に異説があり、それが残念といえば残念です(苦笑)
この修法で唱えられる陀羅尼(呪文)は日本語発音でいうと「ナウボウ・アキャシャ・ギャラバヤ・オン・アリキャ・マリ・ボリ・ソワカ(Nama akasa-garbhaya, om arika mari muri svaha 虚空蔵尊に帰命したてまつる。おお、怨敵を撃ち滅ぼす尊よ、祥福あれ)」で、儀軌(修法の仔細を説く聖典)によるとこれを期限中に百万遍唱えるとあります。
密教を中国に伝えた善無畏という僧が開元五年に長安で訳し、これを一行に伝え、当時入唐していた大安寺の道慈という日本人留学僧が相伝、これが善議を経て勤操に伝わったといいます。

上のような本格的な修法に比べると、弁財天や摩利支天など天部の尊格を対象とした場合は特に、小振りでお手軽な修法が多く、ただ印を結び真言を唱えるだけでよいものが多いと見受けます。
弁財天、摩利支天、帝釈天、大自在天、梵天、阿修羅などといった「天部」と呼ばれる存在は、もともとインドにおけるバラモン教・ヒンドゥー教の神々なのですが、インドの民衆の殆どがバラモン教徒・ヒンドゥー教徒であるため、彼らを効率的に教化するために仏教が已むなく喩え話や伝説の引き合いとして吸収したものでした。また、インドにおいて教団として生き永らえるためにも、仏教はそれらを教えそのものに取り入れざるを得なかったものでした。それらはやがて、中国や日本でも後まで残り、一般民衆にとっても身近でしかも根強い信仰対象となりました。
密教はすべてを包括し、かつそれを超越しようと試みる教えですから、当然これらの存在もあまねく取り入れて、積極的に活用しています。


ところで、真言のような呪術や呪文は、本来、仏教では「正覚の修行とまったく関係がなく、むしろ妨げになる」として禁じられていました。ただし、歯痛を治す呪文と蛇を除く呪文だけは許されていたということです。

ご質問いただくと善い刺激になります。
先ほども書きましたが、今後も遠慮なく何でも訊いてください。
よろしくお願いします。