掲示板の歴史 その十七
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NO.406  『大般涅槃経』の胎内外五位
□投稿者/ 空殻
□投稿日/ 2005/10/15(Sat) 20:20:04
□IP/ 219.102.16.115

無庵様、不法逸様
ご投稿ありがとうございます。
ご返事が大変遅れて申し訳ありません。

以下は法蔵館『仏教学辞典』による胎内の五位と胎外の五位の定義です。仏教では『倶舎論/巻一五』などから見られます。
胎内の五位とは胎児の二六六日間の生長を五つの段階に分けたもの。
  1. 羯刺藍
    かららん、かつららん、こんららんなどと読む。サンスクリット語カララkalalaの音写で歌羅羅、羯羅藍とも書き、凝滑、雑穢(ぞうえ)と訳す。受胎直後の七日間。
  2. アン(安+頁)部曇
    あんぶどんと読む。アルブダarbudaの音写で阿部曇などとも書き、皰(ほう)、皰結などと訳す。第二の七日間。
  3. 閉尸
    へいしと読む。ペーシーpeSIの音写で蔽尸などとも書き、凝結、肉段と訳す。第三の七日間。
  4. 鍵南
    けんなんと読む。ガナghanaの音写で健男、羯南とも書き、凝厚、硬肉と訳す。第四の七日間。
  5. 鉢羅奢キャ(人+去)
    はらしゃきゃと読む。プラシャーカーpraSAkhAの音写で支節、枝枝と訳す。手足が形成される段階で、出産までの二三八日間。
胎外の五位とは出生後の一生涯を五つの期間に分けたもの。
  1. 嬰孩
    ようがいと読む。出生から六歳まで。
  2. 童子
    七歳から十五歳まで。
  3. 少年
    十六歳から三〇歳まで。
  4. 中年
    三一歳から四〇歳まで。
  5. 老年
    四一歳から以降。
さて、無庵様のご質問ですが、『大般涅槃経』には「すべての事物が無常であり時と共に変化する」ことを述べるために例として胎内外の五位が挙げられます。この場合の胎内の五位はカララ(歌羅邏)、アルブダ(安浮陀)、ガナ(伽那)、ペーシー(閉手)、プラシャーカー(諸皰・諸疱)の順に、胎外の五位は少年と中年が省かれて初生が初めに加えられ、これと嬰孩、童子、老(年)の四つが挙げられています(ただし、「胎内/外の五位」という語彙は使われていません)
資料は大正新脩大藏經テキストデータベースで374と375をダウンロードして、前者は0374_,12,0446a27(01)以降、後者は0375_,12,0688a12(00)以降を参照してください。