掲示板の歴史 その十一
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■15 今度はミメシスで
□投稿者/ 空殻 -(2004/09/20(Mon) 14:42:59)
2004/09/20(Mon) 11:28:09

ミメシスで検索してみたところ、『早稲田大学文学部専任教員 藤井慎太郎のページ 演劇と劇場、2つのTHEATREをめぐって』【http://www.f.waseda.jp/fujiis/documents/mimesis.html】というページを見つけました。
ここでは同教員がアンヌ・ユベルスフェルド『演劇分析のキーワード』、「ミメシス」の項を試訳しております。
以下に、ミメシスの条件として判断されうるフレーズを引用しました。

「芸術は自然を模倣するが、その分身や複製を生み出すのでは全くなく(ウンベルト・エーコ)、コピー(写し)ではないのだが、自分のモデルとある構築された関係を保つような一つの作品を生み出すのである。私たちがミメシスと呼ぶことができるのは、この構築の法則である」
「台詞とは、ミメシスの場なのである」
「演劇は現実のものからなる国ではない。[中略]それは真実のものからなる国なのである」

これらの条件下においても、人形浄瑠璃も歌舞伎も、そしてアニメもまたミメシス(ミメーシス)であるといってよいと思います。

本当ならば反ミメーシスについても調べたいところなのですが、これに関する記述がほぼまったくといってよいほど検索できなかったのが残念です。
サイトによっては「現実よりも虚構を優位におく芸術観」「現実と非現実の境界の曖昧性」といった簡易な表現をしていることがあるのですが、それが実際ミメーシスに比してどうなのか、ミメーシスに対してどのように「反」であるのかなどがまったく言及されていないため、鵜呑みにするわけにもいかず(苦笑)

蛇足ですが、上記試訳「ミメシス」の最初の引用に、『薔薇の名前』の著者で記号学者のウンベルト・エーコの名前が出ているのは感慨深いところです。