掲示板の歴史 その六
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NO.172  表意主義
□投稿者/ さくらんぼう
□投稿日/ 2004/01/27(Tue) 21:53:48


「いうまでもなく、中国の文字はもともと象形文字である。・・・古くからあらゆる漢字の構成法に、象形・指事・会意・形声の4種を認めている。・・・中国人は、この表意主義を全然放棄しようとしなかった。」『シナ人の思惟方法』中村元・春秋社・第二章「具象的知覚の重視」p21

他にも、中村博士は、
中国人の精神が、本質的には、総合的な作用、具体的直感によってはたらき、分析によってはたらくのではない、分類しながらはたらくのではなくて、叙述しながらはたらくのである、という印象を、ヨーロッパの言語学者「グラネー」の研究をもとに語ってありました。同著・第二章p19〜41

 これまでのお話を聞くに付け、何かしら、規定の翻訳規則が存在しているのではないかと想像していたのですが、その辺のことがわかると面白いでしょうね。
 ただし、漢字一字一字に、必ず固有の意味を持たせた表現をするのが中国であることだけは確かなようです。逆にゆうと、そのことが却って元来の意味をまげて伝えてしまう結果に結びついたことも、多々あるようですね。その指摘は、Kumarajiva鳩摩羅什の名前についての、吉蔵の誤解を例に挙げて紹介してありました。什という言葉は、その人を賛嘆するために付される字であると。『仏教漢文の読み方』金岡照光・春秋選書p23