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このサイト「密厳浄土」は仏教学について語るという目的のもとに設置しておりますが、だからといって特定の宗教や宗派の支援もしくは批判をするための場所ではありません。あくまでも考古学的、人類文化学的、歴史学的見地から客観的に仏教について語るための場所、そしてできれば語り合える場所として提供いたします。
したがいまして「密厳浄土」では、宗派・専門等にこだわらず、仏教学関係一般の学者・学生・学者志望の方たちを特に歓迎します。
専門掲示板における問答などに素晴らしい内容がありましたら、後日、なるべく読みやすいように再編集して「掲示板の歴史」に掲載させていただきます。

いらした皆さまには、これらの事柄をあらかじめご理解いただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。


空殻
平成十五年 六月八日




附記  「空殻」の定義

空殻は「空王の卵」でありまた「空なる外殻」。
「不生不滅」と「客観」を象徴します。
空王というのは如来の別称であり、「如来の卵」といえば「如来を胎蔵するもの」。
そこから想起するものは、やはり如来蔵思想なのではないかと思います。
しかし、「あらゆる存在が如来の種子を宿す」という意味はないので如来蔵とは微妙にニュアンスを異にします。
究まるところは何も生まれないと達観しつつも、それゆえにあらゆるものがそこから生まれ出る可能性を予感し、
さらにはそれを求めることで生成された「虚なる卵殻」。
卵であるが故に「卒啄同時」にも繋がり、穿てば「虚空の蔵殻」つまり虚空蔵菩薩の概念をも包摂します。

仏教という流れをもっとも効率的に模索、学習、網羅、表現し得る概念、かつ傀儡として生成された存在。
だからなのかは不明ですが、「空殻」は可能性の吟味を好みます。

ちなみに、この「空王の卵」という表現は「覇王の卵」のオマージュです。
(白水社・三浦健太郎著『ベルセルク』/OVA『剣風伝奇ベルセルク』参照)



附記  「密厳浄土」の定義

以下は論文、経論、註釈、辞典類からの引用です。

  • 密厳(ghanavyUha)世界として『大乗密厳経』に説かれる。後世にはこれを大日如来の住む浄土と見做し、現世のこの世界がそのまま密厳浄土であると説くようになった。(岩波書店『インド仏教』所収、藤田広達著「他界」より趣意、一〇八頁)
  • 大日如来の浄土のこと。「密厳」とは、秘密荘厳(しょうごん)の略で、空海の『十住心論』の第10番目が秘密荘厳住心で、真言密教の究極の境地を表す。覚鑁の『密厳浄土略観』によれば、この浄土の中心は大日如来の法界宮殿(ほっかいくうでん)であり、そのまわりに阿シュク・宝生・阿弥陀・釈迦の四仏の浄土があり、さらにそのまわりに十方の諸仏、四波羅蜜菩薩、十六大菩薩、十二天妃、二十八輪王などの曼荼羅の諸尊とその国とが取り巻いているという。密教ではこの浄土に三密行によって即身に入ることができると説く。(岩波書店『岩波 仏教辞典』より)
  • 仏の住む場所はさとりによって形作られていてきよらかであるから、浄土、浄刹(じょうせつ)、浄界、浄国などといい、衆生が住む場所は煩悩でけがれているから穢土(えど)、穢国などという。大乗仏教では涅槃に積極的なはたらきを認めて、涅槃を得た無数の仏がそれぞれに無数の衆生を教え導くとするので、その仏の住む国としての浄土を説く。維摩経巻上仏国品には、心がきよまれば住む世界もきよまる(心浄土浄)といい、さとりを開けばこの娑婆世界が浄土となる(娑婆即寂光)とする。法華経の霊山浄土、華厳経の蓮華蔵世界、大乗密厳経の密厳浄土などはこの説に類する。(法蔵館『仏教学辞典』「浄土」より)
  • 密厳仏国、密厳国土、密厳世界、密厳華厳、密厳海会などともいう。「密厳」とは「秘密荘厳」の意味であり、十住心でいえば第十秘密荘厳心の世界である。空海は『秘蔵宝鑰』において秘密荘厳心を説明するに際して『菩提心論』の三摩地段の全文をもってこれに当てている。三摩地段は『菩提心論』の結論に当る部分であり、その結語に「此の菩提心は能く一切諸仏の功徳の法を包蔵するが故に、若し修証し出現すれば則ち是れ密厳国土なり」と菩提心=密厳国土という結論を提出している。空海の十住心は菩提心の展開を述べつつ、同時に教判を行なったといえるのであり、第十心に当る真言密教は菩提心が修証された段階といってよい。それは換言すれば、あらゆる相対的観念の消滅した絶対の世界である。具体的には両部曼荼羅の世界であり、大日如来の三密に満ちた我々の現実世界でもある。しかし、この世界は菩提心が修証し、出現した時にこそ、自覚されるのであって、それ以前の段階にあっては、この 完全に作りあげられた(荘厳=アランカーラ alaNkAra)世界 は眼に見えず、秘密なのである。空海が密厳国土思想を『菩提心論』からとったことは明らかであるが、これに先行する経典に空海が同時に請来した『密厳経』三巻五一紙(『大乗密厳経』)がある。この経典は不空の訳の他に地婆訶羅訳(六七六〜六八八)がある。この訳年からみても本経は『大日経』『金剛頂経』によって代表される純粋密教が成立するころ、あるいはその直前に成立していたものといえる。その特徴とするところは如来蔵と阿頼耶識の同一を説き、また密厳浄土を提唱する点である。ここでいう「密厳世界」というのは欲界・色界・無色界の三界を超越し、全く自由自在で瑜伽禅定を修習し、三昧の力によって、あらゆる煩悩を消滅し、智身を得た菩薩の住む世界をいう。また「諸の仏国を超え、遠く星宿及び日月を離れ」ているという。本経は最後の「阿羅耶即密厳品」という章において、その名の如く阿羅耶=密厳世界を主張するのであるが、愚者は阿頼耶識を見ることができないが、密厳世界の菩薩は三昧の力によって阿頼耶識を体認することができる。すなわち、「密厳は是れ大明妙智の殊称なり。仏子勤めて修習すれば此の刹中に生ぜん」という如く、密厳世界を行者の智恵としている。この点は密厳国土を菩提心の修証された段階とする『菩提心論』に通じる。空海は『十住心論』などの主著に本経を直接引用していないが、自ら請来した経典でもあり、おそらく、本経の思想は知っていたであろう。しかし本経は「胎蔵品」において衆生身を捨てて密厳世界に入るべきことを述べており、即身成仏に徹し切っていない点がある。密厳浄土思想は覚鑁の『密厳浄土略観』において「大日心王の連都」と呼ばれ、第九阿摩羅無垢識を本質とする世界とみられるに至る。また覚鑁の浄土観は密厳国土こそ真の浄土であるとみる密厳浄土とは本然の人間の心にほかならない。(東京堂出版、金岡秀友編『新装版・空海辞典』(一九九九年)より)
  • このさとりを求める心[菩提心]は、よくすべてのもろもろの仏の功徳の教えを包み持っているのであり、もし、(真言密教の修行者が)修行してさとり、(この世界に)出現したならば、必ず、すべての人々をさとりへと導く先生となろう。もし、根本であるさとりの世界に立ち帰るならば、そこは、秘密に荘厳された国土[密厳国土]であり、そして、その場で、よくすべての仏が人々を救うという仕事を成し遂げることができる。だから、さとりを求める心を讃嘆して、
    「もし、人が仏の智慧を求めてさとりを求める心に気づけば、父母より生じたところの自分の身に、速やかに大いなるさとりを得て、仏の位に到達するのである」
    という。(『中国密教』所収、頼富本宏訳『菩提心論』より、一六六〜七頁)
  • この[密厳国土という]言葉は、『大日経疏』の中の「三品悉地(さんぼんしっじ)」の思想に関連すると思われる。すなわち、密教修習の結果形態である悉地を三つに分け、その最高の悉地を密厳仏国とし、大日如来の浄土とする。この思想の起源は、『大乗密厳経』にあると思われる。五大院安然は、『真言宗教時義』において、『大日経疏』もしくは『大日経義釈』の三品悉地における「密厳仏国」と、『大乗密厳経』の「密厳仏土」とを同じとし、これらと『菩提心論』に説く「密厳国土」とを総合して解釈している。
    なお、真言宗における「密厳国土」の基本的な解釈は、『大乗密厳経』や『大日経疏』や『菩提心論』などに依拠した上で、空海が『金剛峯楼閣一切瑜伽瑜祗経』の中の「密厳華厳」を、『十住心論』(大正、七十七、三六一b)や『弁顕密二教論』(大正、七十七、三八〇b)において、以下のように理解している。「謂く。密とは金剛の三密なり。華とは開敷覚華(かいふかくか)なり。厳とは種種の徳を具せり。言く、恒沙(ごうしゃ)の仏徳塵数の三密を以て身土を荘厳す。是れを曼荼羅と名づく」。要するに、密厳国土とは、大日如来の仏国土で、実に曼荼羅世界にほかならない。(同『菩提心論』註釈より、二八七〜八頁)
法蔵館『密教大辞典』によると、『瑜祗経』には密厳華厳、『大乗密厳経』には密厳世界、『菩提心論』には密厳国土、『大日経疏/巻三』には密厳海会、『秘蔵記』には華蔵世界とあるといい、『大日経』所説の大日如来の金剛法界宮と本質的に同じであるということです。また上にも既に引きましたが、『仏教学辞典』の記述によると、『大日経疏/巻三』には、真言の行者の観心に現れる境地として上品(じょうほん)、中品、下品の三品悉地(siddhi、成就、妙成就。密教で真言などを誦持することで成就する妙果)があるとして、上からそれぞれ密厳仏国、十方浄土、諸天修羅宮に安住すると説かれているということです。『密教大辞典』では密厳仏国は十方浄土を包摂するものと説明しております。

ちなみに同サイトでは、かならずしも上のような思想的背景を踏まえて運営をしているわけではありません。
敢えていえば、「密」度が濃くて「厳」格なサイトとして在りたいと思っております(笑)


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