仏教用語辞典


東台密 [とうたいみつ]
東密と台密。
鎌倉時代末の『元亨釈書』巻27に初出する語で、真言密教(古義派)と天台密教の勢力を区別するために用いられる。
台密では法華経と大日経の一致に即して釈迦と大日如来との同一を主張、『大日経』『金剛頂経』『蘇悉地経』に基いて胎・金・蘇の三部をいうのに対し、東密は真言密教の他の諸教に対する大日法身の絶対性を説く。

鳥居 [とりい]
門の一種で、木造、石塔、鋳造の三種があり、二本の柱を立て笠木を冠し、その下に連結すべき横材(貫)を入れたもの。
現在では神社のみに用いられるが、古くは寺院・神社の区別なく設けられていた。
これが次第に発展して様々な様式を生じ、現存するものでは神明鳥居、鹿島鳥居、春日鳥居、明神鳥居、両部鳥居、山王鳥居、三柱鳥居、三輪鳥居などが挙げられる。
これらのうち三輪鳥居には扉があって左右に袖があり、インドにおける「Torana」(『大疏』には「門標」と訳される)や、中国の牌楼に酷似している。
『和訓栞』などは鳥居の起源を『神代記』の長鳴鳥の故事に求めているが、『密教大辞典』ではやはりインドのToranaに由来すると考えるべきだとしている。
インドでは塔廟の周囲に石柵を造り、四方に門(Torana)を立てる風習があるというが、日本においても葬場の四方、龕の四面に鳥居を造り、東に発心門、西に菩提門、南に修行門、北に涅槃門の額を掲げる習慣がある。神仏習合の結果として、いつの間にか神道特有のものとして成立してしまったのではないだろうか。
[法蔵館『密教大辞典』参照]