0893_,18,0664c27(00): 分別阿闍梨相品 第二
0893_,18,0664c28(07): また、次に我は、今まさに阿闍梨の相を説くべきである。
0893_,18,0664c29(04): 一切の真言はこれによって得るゆえに、阿闍梨を知ることを最たる根本となす。その相はどうであるか。
0893_,18,0665a01(00): いわく、支体円満し福徳荘厳であると、善くすべからく世出世[laukika-alaukika]の法を知解すると、つねに法に依って住し、
0893_,18,0665a02(01): 非法[adharma]を行ぜざると、大慈悲を具して衆生を憐愍すると、貴族に生長すると、
0893_,18,0665a03(06): 性調い柔和にして、共に住することあるに随い、皆安楽を獲ると、
0893_,18,0665a04(07): 聡明智慧、辯才無礙なると、よく忍辱をいだき我見をいだかざると、
0893_,18,0665a05(00): 善く妙義を解し、深く大乗を信ずると、設い小罪を犯すも、なお、大怖をいだき、身口意の業によく調柔を須ると、
0893_,18,0665a06(05): 心常に悦楽すると、大乗経を読み、謹んで法教に依ると、
0893_,18,0665a07(06): 勤めて真言を誦してまた間断せざると、所作の悉地、皆ことごとく成ずる者と、
0893_,18,0665a08(07): また、すべからく善解して漫荼羅を画くと、常に四摂 [※ 菩薩が衆生を導くための四種の方法。布施・愛語・利行・同事。金剛界曼荼羅にはこの四摂が象徴的に四菩薩として配置される] を具し、大法 [※ 大菩提心] を求めることをなし、
0893_,18,0665a09(04): 小縁を楽わざると、永く慳悋 [※ ものおしみ] を離れると、かつて師に従い大漫荼羅に入り、潅頂の法を受けると、
0893_,18,0665a10(01): また、先師のために徳者と讃歎せられ、汝今より往、潅頂を授けて阿闍梨となるに堪えんと、
0893_,18,0665a11(02): かの印可があれば、方に自ら漫荼羅の法則次第を造る合く、
0893_,18,0665a12(07): 乃ち弟子に真言を授与す合し。もしこの者に依り
0893_,18,0665a13(02): 受ける所の真言は、速やかに成就するを得るということに疑いを抱くべきではない。もし和上阿闍梨の処にて授からなければ、
0893_,18,0665a14(03): 檀に真言を誦するのみで、いたずらに功勞を施しても、終に果を獲ることができない。夫れ弟子の法は、
0893_,18,0665a15(08): 闍梨に恭み侍すること、猶、三宝及び菩薩等の如くすべきである。
0893_,18,0665a16(06): 何を以ての故にであるか。謂く、よく授与する帰依の処(だから)である。諸の善事において、首めの因となし、
0893_,18,0665a17(09): 現世は安楽にして、当来には果を獲る。謂く、阿闍梨に依るが故に、
0893_,18,0665a18(02): 当に(阿闍梨=授戒師の位を)嗣いで、久しからずして無上正等菩提を得るだろう。この義を以ての故に、これを敬すること仏の如くし、以て弟子と為れ。
0893_,18,0665a19(07): 闍梨を承事するに懈怠あることなく、勤持して授けられるところの明王及び明王妃 [※ すなわち真言] (傍線部はa20(00)から)を闕かなければ、
0893_,18,0665a20(00): 当に悉地を得るだろう。必ず疑いを得ることがないように。