蘇悉地経 巻上
空殻 訳  (c)2005 qookaku
0893_,18,0663b07(00):  請問品 第一

0893_,18,0663b08(04):  そのとき、忿怒軍荼利菩薩は合掌恭敬くぎょうし、
0893_,18,0663b09(01):  尊者執金剛の足を頂礼して、即ちこの問いを発した。我、時に往昔、尊者のところにおいて、
0893_,18,0663b10(05):  一切の明王の漫陀羅法および次第を聞き、
0893_,18,0663b11(02):  また、明王の諸の所眷属の神験威徳を聞いた。願わくは、未来の諸の有情のための故に、
0893_,18,0663b12(11):  尊者よ、ただ広く解説げせつをなすことを垂れよ。
0893_,18,0663b13(04):  いかに真言を持誦する法則次第を得て、速やかに成就を得さしめるのか。その諸の真言法は一体であるとはいえ、
0893_,18,0663b14(03):  真言相とはいかなるものなのか、阿闍梨とはいかなるものか、
0893_,18,0663b15(06):  成就者の弟子とはいかなるものであるか、どのような方処を勝処となすか、
0893_,18,0663b16(00):  いかにして真言は速やかに成就するのか、調伏の相とはどんなであるか、真言を持誦する方便の次第とはどのようなものであるか、
0893_,18,0663b17(02):  どのように華を供養するべきか、どういった香が塗香であり、どのような香が焼香であるのか、
0893_,18,0663b18(04):  燈油の相とはどうであるのか、どのように食を供養するべきなのか、どのような作法を扇底迦センチキャ[SAntika=息災法]とするのか、
0893_,18,0663b19(01):  どのような作法が増益ぞうやく[pauSTika]の相であり、どのような作法が降伏[abhicAraka]の相であるのか、これら三種の中において、おのおのどういった事を成ずるのか、
0893_,18,0663b20(03):  どのようなものが上中下の次第成就の相なのか、どんな法を請召しょうちょうとするか、
0893_,18,0663b21(00):  いかに供養を修するか、いかに身を持護するべきか、いかに広く法を持して何の偈と真言とを誦するべきか、
0893_,18,0663b22(01):  どのように灌頂をなすべきか、どう真言を試みればよいか、どう当に受け付けるべきか、
0893_,18,0663b23(08):  いかなる字が円かなるを得るのか、いかに増益を得るのか、
0893_,18,0663b24(00):  いかに護摩の種々の次第法用をなすか、どういった物をもってよく速やかに成就ならしむるのか、薬を成すの相とはどのようであるか、
0893_,18,0663b25(02):  どのようにして薬相を受けるのか、いかに薬を浄治するか、薬の量分はどうであるか、
0893_,18,0663b26(00):  諸薬の相とはどんなであるか、いかに諸の成就物を護るのか、いかに分別して分数をなすべきか、
0893_,18,0663b27(03):  いかに成就物を受用じゅゆうするか、いかにして失せた物を却得するか、
0893_,18,0663b28(06):  いかにして彼に著するのを破却されるか、どのように障礙相をなすを知るのか、
0893_,18,0663b29(02):  いかに漫陀羅を成就するか、漫荼羅の事法とはいかなるものか、潅頂の漫荼羅はいかなるものか。
0893_,18,0663c01(03):  上に問う所の如きはその要なるものに随うも、ただ、願わくは尊者よ、大慈悲を具し、
0893_,18,0663c02(00):  一一に分別して、ひろく我がため説かれんことを。
0893_,18,0663c03(17):  
0893_,18,0663c04(01):  その時、吉祥に一切を莊嚴する持明大執金剛應供養者は、彼の大精進忿怒に告げて言う。善き哉、善き哉、大忿怒よ。
0893_,18,0663c05(10):  よくぞ我が所においてそのような問いを発した。
0893_,18,0663c06(02):  まさに一心にこの勝上微妙の法則なる蘇悉地羯羅の五つの荘厳[alaMkAra]の法を聴くべし。五とは何のことをいうか。
0893_,18,0663c07(07):  一にいうは精進、二にいうは明王、三にいうは除障、
0893_,18,0663c08(03):  四にいうは諸の勇猛事を成就すること、五にいうは一切の眞言を成就することである。この蘇悉地経は、
0893_,18,0663c09(08):  もし余の真言法を持誦して成就せざることがあれば、
0893_,18,0663c10(03):  まさにこの経の根本真言を兼持すべきであり、(そうすれば)まさに速やかに成就するであろう。(この理由で)三部中において、この経を王となす。
0893_,18,0663c11(12):  また、よく一切の事を成辨じょうべんする。
0893_,18,0663c12(01):  いわゆる、護身し召請し結界し供養し相助し決罰し、一切の真言の一々の次第を教授し、成就を得さしめる。
0893_,18,0663c13(06):  もしくは諸の心眞言中に、三つの虎ウン(合+牛)字が有り、これらは、
0893_,18,0663c14(05):  すなわちよく上のような所説の一切の法事を成辨する。三虎ウン字の心真言によると、
0893_,18,0663c15(00):  オン・クロダノウ・コ・ウンジャク
【※ オン(俺−人+口)[喉中抬聲引呼一句]矩(ク)[二合]ロ(口+魯)駄曩[二句]虎[二合]ウン(合+牛)若(ジャク)[二句]】
0893_,18,0663c16(19):  辨才の真言をいうと、
0893_,18,0663c17(00):  オン・シュロチ・ソクリチ・ダラニ・コ・ウンカク
【※ オン[同上呼一句]咄(シュ)[二合]ロ(口+魯)底(チ)[丁以反二句]塞[僧乙反]リ(口+履)底[同上三句]駄ラ(口+羅)ニ(手+尼)[四句]虎[二合]ウン(合+牛)カク(日+霍)[五句]】
0893_,18,0663c18(04):  この真言を以て、水を真言して三遍身にしゃして作淨せよ。
0893_,18,0663c19(04):  また次に、上中下の成就の法とは、別経に説かれる如く、成就を求める者は、
0893_,18,0663c20(01):  須く真言の上中下の法を解すべきである。この経に通じて、三部所作の漫荼羅法を摂する。
0893_,18,0663c21(00):  仏部の真言は扇底迦[息災]の法であり、観音部の真言は補瑟徴迦[pauSTika、増益]法であり、
0893_,18,0663c22(00):  金剛部の真言は阿毘遮ロ(口+魯)迦[abhicAraka、降伏]の法である。腋から頂に至るのを上となし、
0893_,18,0663c23(01):  臍から腋に至るを中となし、足から臍に至るを下となす。真言の中において、
0893_,18,0663c24(02):  まさに三種の成就を分別するべし。その三部において、おのおの分けて三となす。
0893_,18,0663c25(02):  よく須らく三部の中の真言を了解すべし。明王の真言はこれ上成就である。
0893_,18,0663c26(02):  諸余の使者の制タ(託−言+口)制徴[せいたせいち。ceTa ceTi、男女の使者]等はこれ下成就である。扇底迦の法、
0893_,18,0663c27(04):  補瑟徴迦の法、阿毘遮ロ(口+魯)迦の法は、三部中において、
0893_,18,0663c28(00):  おのおのに皆有り。まさに須らく善く知って、次第を分別すべきである。もしくは仏部中には、仏母の真言をもって
0893_,18,0663c29(00):  扇底迦の法となす。仏母の真言をいうと、
0893_,18,0664a01(25):  
0893_,18,0664a02(24):  
0893_,18,0664a03(21):  
0893_,18,0664a04(00):  ノウボバギャバテイ・ウシュニシャヤ・オン・ロロソホロ・ジンバラ・チシュタ・シッタロシャニ・サラバラタサニ・ソワカ
【※ 那謨バ(白+番)[●(クサカンムリ+補)餓反下同音]伽[上]縛[無可反下同音]底[一句]塢瑟ニ(手+尼)灑[疏價反]野[二句]オン(俺−人+口)[同上呼三句]ロ(口+魯)ロ(口+魯)塞[僧乙反]普ロ(口+魯)[四句]入バ(口+縛)ラ(手+羅)[五句]底瑟他[魑價反六句]悉駄路者ニ(人+爾)[七句]薩末嗽詫[他可反]娑[去]駄ニ(人+爾)[八句]莎ワ(口+縛)訶[九句]】
0893_,18,0664a05(00):  もしくは観音部中には、観音母である半拏羅縛悉ニ(人+爾)の真言をもって
0893_,18,0664a06(00):  扇底迦の法となす。観音母の真言をいうと、
0893_,18,0664a07(21):  
0893_,18,0664a08(29):  
0893_,18,0664a09(22):  
0893_,18,0664a10(00):  ノウボアラタンノウタラヤヤ・オン・キャセイ・ビキャセイ・キャタキャト・ウキャセイ・バキャバチ・ビジャエイ・ソワカ
【※ 那謨刺怛[二合]娜怛[二合]ラ(口+羅)耶野[一句]オン(俺−人+口)[同上二句]迦[居羅反下同音]制[知四反]弭迦制[同上音三句]迦タ(糸偏+大+多)[知價反下]迦トウ(章編+久+買+心)[知降反]迦制[同上音四句]バ(白+番)伽縛底弭惹曳[五句]莎[去二合]バ(口+縛)訶[六句]】
0893_,18,0664a11(02):  もしくは金剛部中には、執金剛母である忙莽鷄の真言をもって
0893_,18,0664a12(00):  爲扇底迦の法となす。金剛母の真言とは、
0893_,18,0664a13(19):  
0893_,18,0664a14(19):  
0893_,18,0664a15(22):  
0893_,18,0664a16(23):  
0893_,18,0664a17(19):  
0893_,18,0664a18(00):  ノウボアラタンノウタラヤヤ・ノウマクシセンダ・バサラ・ハンダエイ・マカヤキシャ・セイノウハンダエイ・ノウボロキャタチリエイ・ノウマクショウキャレイ・クツタクツタ・クチネイキャダヤ・クツチテイ・ソワカ
【※ 那謨刺怛[二合]娜怛[二合]ラ(口+羅)耶野[一句]那莫室戰拏跋曰羅幡拏曳[二句]摩訶藥起灑[同上]栖那幡ダ(享+單)[多可反下同]曳[三句]那謨路迦駄窒[丁吉反]リ(口+履)曳[四句]那莫商迦隸扇底迦隸[五句]クツ(糸+屈)[倶欝反下同]タ(糸偏+大+多)[知價反下同]クツタ(同上)[六句]具置ネイ(寧+頁)伽[上]ダ(享+單)野[七句]クツ(同上)置テイ(同上)[八句]莎[去二合]縛訶[六句]】
0893_,18,0664a19(05):  また、仏部中には明王最仏佛頂の眞言をして
0893_,18,0664a20(00):  補瑟徴迦の法となす。明王眞言を曰うと、
0893_,18,0664a21(22):  
0893_,18,0664a22(19):  
0893_,18,0664a23(22):  
0893_,18,0664a24(19):  
0893_,18,0664a25(00):  ノウボハラチカト・シュニシャヤ・サラバタラジタンヤ・シャマヤシャマヤ・センチタテイ・タラマアランジャバシテイ・マカビニエイ・サラバアラタサダニ・ソワカ
【※ 那謨跛[北沒反二合]ラ(口+羅)底[同上]歌妬[一句]瑟膩灑野[二合]薩バ(口+縛)怛[二合]ラ(口+羅)幡邏爾タン(享+單)野[三句]捨麼野捨麼野[四句]扇底丁[禮反下同]但底[五句]達麼邏惹バ(白+番)使羝[六句]摩訶蜜ニ(人+爾)曳[七句]薩バ(口+縛)遏詑娑[去]駄ニ(人+爾)[八句]娑縛訶[九句]】
0893_,18,0664a26(03):  また、観音部中には、明王カ(可+欠)野キ(土+乞)利縛の真言をして、
0893_,18,0664a27(00):  補瑟徴迦の法となす。明王の真言を曰えば、
0893_,18,0664a28(00):  オン・アミリト・ハンバハンボ・ノウマク
オン(俺−人+口)[同上一]阿[上]蜜リ(口+利)妬[二]ハン(白+番)暮ハン(白+番)バ(口+縛)[三]娜莫[四]
0893_,18,0664a29(00):  また、金剛部中には、明王蘇バン(白+番)の真言をして補瑟徴迦法となす。
0893_,18,0664b01(00):  明王の真言を曰えば、
0893_,18,0664b02(19):  
0893_,18,0664b03(19):  
0893_,18,0664b04(22):  
0893_,18,0664b05(20):  
0893_,18,0664b06(20):  
0893_,18,0664b07(00):  ノウボアラタンノウ・タラヤヤ・ナウボシセンダ・バザラ・ハンダエイ・マカヤキシャ・セイノウハンダエイ・オン・ソバニソバコ・ウン・ギリカンダギリカンダ・コ・ウン・ギリカンダギリカンダ・ハヤコ・ウン・ア・ノウヤホウ・バギャバン・ビジヤアランジャ・コ・ウンハッタ
【※ 那謨刺怛[二合]娜怛[二合]ラ(口+羅)耶野[一]那莫室戰拏[二]跋日ラ(口+羅)幡拏曳[三]摩訶藥起灑[同上]栖那幡タン(享+單)曳[四]オン(俺−人+口)[同上五]蘇バ(白+番)ニ(寧+頁)蘇[同上]バ(白+番)[六]虎[二合]ウン[七]ギ(土+乞)[魚乙反下同]里釁拏ギ(土+乞)里釁拏[八]虎[二合]ウン(合+牛)[九]ギ(土+乞)里釁拏[平]幡野虎[二合]ウン(合+牛)[十]阿[上]曩野抱[十一]薄伽[上]畔[十二]ビ(クサカンムリ+必)地耶邏惹[十三]虎[二合]ウン(合+牛)ハッ(手+市)タ(託−言+口)[十四]】
0893_,18,0664b08(03):  また、仏部中には、大忿怒阿鉢羅ラ(口+羅)爾タン(享+單)[アパツラジタン、aparajIta、無能勝明王。胎蔵界現図曼荼羅釈迦院左辺に住す]の真言をして
0893_,18,0664b09(00):  阿毘遮ロ(口+魯)迦の法となす。忿怒の真言を曰えば、
0893_,18,0664b10(23):  
0893_,18,0664b11(00):  オン・コロコロ・センダリマトウギ・ソワカ
【※ オン[同上一]虎ロ(口+魯)虎ロ(同上)[二]戰拏里摩燈倪[魚枳反三]莎[去二合]ワ(口+縛)訶[四]】
0893_,18,0664b12(03):  また、蓮華部中には大忿怒施婆バ(口+縛)訶の真言をして
0893_,18,0664b13(00):  阿毘遮ロ(口+魯)迦の法となす。施婆バ(口+縛)訶の真言を曰えば、
0893_,18,0664b14(19):  
0893_,18,0664b15(21):  
0893_,18,0664b16(21):  
0893_,18,0664b17(21):  
0893_,18,0664b18(00):  ノウボアラタンノウ・タラヤヤ・ナウボマカシリヤエイ・オン・シャキエイ・シャマエイ・ソウビエイ・シツデイシツデイ・サダヤ・シハイシハイ・シボンキャレイシボンメイ・アボカ・サラバアラタサタネイ・ソワカ
【※ 那謨刺怛[二合]娜怛[二合]ラ(口+羅)耶野[一]那謨摩訶室里野曳[二]オン(俺−人+口)[同上三]鑠枳[二合]曳縒摩曳[四]譟[蘇告反]弭曳[五]悉睇悉睇[六]娑[去]駄野[七]始廢[無計反下同]始廢[八]始梵[歩甘反下同]迦レイ(口+止/矢+人/示)始梵米[九]阿[上]ボ(口+縛)カ(可+欠)[十]薩バ(口+縛)遏詫娑[去]詑ネイ(寧+頁)[十一]莎[去二合]ワ(口+縛)訶[十二]】
0893_,18,0664b19(12):  また、金剛部中には、
0893_,18,0664b20(00):  大忿怒軍荼利の真言をして阿毘遮ロ(口+魯)迦の法となす。忿怒の真言を曰うと、
0893_,18,0664b21(19):  
0893_,18,0664b22(20):  
0893_,18,0664b23(19):  
0893_,18,0664b24(00):  ナウマクアラタンノウ・タラヤヤ・ナウボシセンダ・マカバザラ・クロダヤ・オン・コロコロ・チシュタ・バンダバンダ・カノウカノウ・アミリテイ・コ・ウンハッタ
【※ 那謨喇怛[二合]娜怛[二合]ラ(口+羅)[上]耶野[一]那莫室戰拏[二]摩訶跋日ラ(口+羅)矩ロ(口+魯)駄野[三]オン[同上四]虎ロ(口+魯)虎ロ(口+魯)[五]底瑟侘底瑟侘[六]畔駄畔駄[七]カ(可+欠)曩カ(可+欠)曩[八]阿蜜リ(口+栗)底[丁禮反九]虎[二合]ウン(合+牛)ハッ(手+市)タ(託−言+口)[十]】
0893_,18,0664b25(03):  また、真言有り、三部に入らなければかの真言の文字に随って、
0893_,18,0664b26(00):  扇底迦等の三種の法を辨ぜよ。真言の中を看るとき、もし扇底句ル(口+魯)[センチクル、SAti-kuru=寂静の王]の字、
0893_,18,0664b27(02):  莎悉底句ル(口+魯)[ソシッチクル、svasti-kuru=吉祥の王]の字、シュク(門+人×3)莽[シュクモウ、kSama=たて]の字、鉢ラ(口+羅)[二合]シュク(門+人×3)莽[ハラシュクモウ、parakSama]の字、
0893_,18,0664b28(08):  烏波シュク(門+人×3)莽[upakSama]の字、莎[去]訶[去](ソワカ)の字があれば、
0893_,18,0664b29(08):  まさに知るべきである、すなわちこれが扇底迦の真言であることを。もし補瑟置迦の字があれば、
0893_,18,0664c01(09):  まさに知るべきである、すなわちこれが補瑟置迦の真言であることを。もし句ル(口+魯)の字が有るならば、
0893_,18,0664c02(07):  まさに知るべきである、すなわちこれが阿毘柘ロ(口+魯)迦の真言であることを。また、真言の句義に慈善(の意味)があれば、
0893_,18,0664c03(08):  まさに知るべきである、すなわちこれが扇底迦の用に入ることを。もし真言の句義に猛怒(の意味)があれば、
0893_,18,0664c04(07):  まさに知るべきである、すなわちこれが阿毘遮ロ(口+魯)迦の用に入ることを。もし真言に非慈非猛(の意味)があれば、
0893_,18,0664c05(01):  まさに知るべきである、すなわち補瑟徴迦の用に入ることを。もし速やかに扇底迦を成ぜんと欲するならば、まさに仏部の真言を用いるべきである。
0893_,18,0664c06(02):  もし速やかに補瑟徴迦を成ぜんと欲するならば、まさに蓮華部の真言を用いるべきである。
0893_,18,0664c07(02):  もし速やかに阿毘遮ロ(口+魯)迦を成ぜんと欲するなら、まさに金剛部の真言を用いるべきである。
0893_,18,0664c08(01):  この経が深妙であることは天中の天の如くであり、上中の上ということがあるのは、もしこの法に依れば、
0893_,18,0664c09(02):  一切の諸事、成就せざるということがないかれである。この経は金剛の下部に属すといえども、
0893_,18,0664c10(07):  仏の教えを奉ぜんがために、また、よく上の二部の法を成就する。
0893_,18,0664c11(03):  譬えば、国王の教勅有るに随って自らもまた依り行うが如く、この法もまたしかりである。義に准じて知るべきである。
0893_,18,0664c12(02):  もし真言あって字の数が少ないといえども、初めにオン(俺−人+口)の字あり、後に莎[去]訶の字があれば、
0893_,18,0664c13(06):  まさに知るべきである、この真言が速やかに、よく扇底迦の法を成就することを。
0893_,18,0664c14(01):  あるいは真言ありて、初めにオン(俺−人+口)の字あり、後にハッ(手+市)タ(托−手+人)の字があるか、あるいはレイ(口+止/矢+隶)普の字があるなら、これはこれ訶(いそう)の声である。
0893_,18,0664c15(01):  上のごとき字のある真言は、速やかに阿毘遮ロ(口+魯)迦の法の成就を得る。
0893_,18,0664c16(01):  あるいは真言ありて、初めにオン(俺−人+口)の字なく、後に莎訶の字なく、またウン(合+牛)字なく、
0893_,18,0664c17(00):  またハッ(手+市)タ(托−手+人)字なく、およびレイ(口+止/矢+隶)普等の字がなければ、まさに知るべきである、これらの真言は
0893_,18,0664c18(08):  速やかに、よく補瑟徴迦の法を成就するのだと。
0893_,18,0664c19(08):  もし、また、人があり、諸余の鬼魅および阿毘舍等を摂伏することを求めんと欲すれば、
0893_,18,0664c20(01):  まさに使者および制タ(托−手+口)迦等の所説の真言を用いるべきである。速やかに成就を得るであろう。もしまた、異部の真言あって、
0893_,18,0664c21(02):  よく一切の事を成就すると云うとしても、ただ、よく本部の所説のみを成就して、
0893_,18,0664c22(07):  余部には通じない。なお、経にかしこに真言があって
0893_,18,0664c23(02):  毒を除き病を除くための故にこれを説くと演ぶることがあっても、また、よく余の諸の苦を除く。まさにすなわち、それを一切に通じて用いるべきであると知るべきである。
0893_,18,0664c24(07):  善くその部を知り、善く真言の所応の用処を識り、
0893_,18,0664c25(04):  また、すべからくその真言の功力を知るべきである。また、すべからく善く真言を修する法を解すべきである。求めるところの願に随って、
0893_,18,0664c26(00):  まさにすべからく誦持してかの真言を誦するべきである。