龍星座ドラゴンの紫龍


龍星座ドラゴンの紫龍

illustrated by QooKaku

龍星座ドラゴンの紫龍。さぼてんしさんのリクエストに応えて作成した。
背景を赤くしすぎたかも知れぬ。




劒 Khadgah  
煩悩摧破の智徳をヒョウ(巾+票)幟し、諸尊の三昧耶形に用ひらる。智劒又は金剛劒とも云ふ。劒に利劒・寶劒の二種あり、利劒は尖端鋭利にして、寶劒は宝珠の如く円味を帯ぶ。寶部の尊又は悲門の尊所持の劒は後者に属す、胎蔵界虚空蔵院の虚空蔵菩薩、同遍知院の大勇猛菩薩所持の劒其例なり。利劒は四魔降伏の徳によりて降魔劒とも名けられ、智門の尊これを所持す、金剛界の金剛利菩薩・胎蔵界の文殊菩薩・不動明王等その例なり。但し不動明王の劒は、大日經二具縁品に不動如來所持慧刀羂索とあるごとく、慧刀と稱することあり。蓋し梵語Khadgahを慧琳音義三十六には劒と釋し、大疏十一には刀と翻じ、刀劒通用するものの如し。本邦にては刀は片刃、劒は双刃と區別すれども、經軌にはこれを通用せり。

倶利伽 Kulikah  
倶利伽羅大龍・古力迦龍王など書けり。迦梨迦(Kaalikah)加羅加(Kaalakah)はみな具黒の義にして龍王の名なるが故に玄應音義四に黒龍也と云ふ。一説に倶利伽羅(Kri-kaalah)を作黒の故に黒龍なりと云へるは梵語を誤れるが如し。陀羅尼集經六には八龍王の一に鳩利迦(Kulikah)あり、具種の義なり、暗褐色にして頂上に半月ありと云ふ。倶利伽像法に尊勅と釋せるは、此語に具種の外、善族・種族の首長等の義あるに依るか。初は不動明王を念ずる効力によりて、此龍を駆使し又はその保護を受くとの信仰より、遂に此龍を明王の化身とし或は三昧耶形とするに至れり。倶利伽羅大龍勝外道伏陀羅尼經によらば、色界頂に於て不動明王外道と對論する時、明王變じて智火の劒となる、外道の上首智達も亦智火の劒となれり、時に明王の智火劒は倶利伽羅大龍となり、外道の智火劒を呑まんとし、口より氣を出す、二萬億の雷の一時に鳴るが如し、魔王外道之を聞いて邪執を捨てたりと云ふ。(中略)
【眞言】根本真言 歸命、倶利伽那迦羅惹 銘伽扇爾曳 娑縛訶 (Om Kulika naaga raaja meghaacaniye svaha)。

倶利伽羅劒  
倶里劒とも云ふ。倶利伽羅龍の纏える劒にして、不動明王の三昧耶形なり。高野山龍光院に弘法大師所持と傳説する倶利伽羅劒あり、製作勁拔にして國寶に指定せらる。

――法蔵館『密教大辞典』



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初版:2003年5月20日